こんにちはリハビリアイデア(@rehaidea)です。
最近では脳科学や脳機能に関する様々な書籍が出版され、日々情報もアップデートされています。
私自身が脳科学を学んだ学生の頃と比べると教科書の内容も随分変わりました。
例えば脳の神経線維も錐体路・錐体外路で覚えてたものが、今では皮質脊髄路、皮質網様体脊髄路ってそれぞれの機能もより明確になってきたもんな~!
そういった脳機能や脳科学に関して勉強はしたいけど、
- 結局何から勉強したら良いの?
- 沢山の書籍はあれど、どれを見たら良いのか?
- 何がわかりやすいのか?
そんな悩みをもつセラピストも非常に多いと思います。
そして大事なことは書籍などから学んだ脳科学や脳機能の知識を、いかに臨床応用していけるかが重要なポイントになってきます。
今回は年間30冊以上のリハビリ本を読む、リハビリアイデア(@rehaidea)が脳神経科学を学ぶ上で臨床に役立つ書籍をピックアップ(偉そうにいってますが、個人的にみやすかったものや、難しいけど非常に勉強になったものを)していきたいと思います。
※レビュー得点に関しても、あくまでも個人的主観なので、実際に気になる方は是非本屋で実際に手に取って中身を確認してみてくださいね。
こちらは脳画像でまとめた役立つ書籍9選の記事になります!
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目次
【標準理学療法学】神経理学療法学 第2版
初学者必見、脳機能に関する知識をほぼ網羅!
書籍の特徴
脳卒中の理学療法(作業療法や言語療法にも)に役立つスタンダードな情報を網羅した書籍です。
こちらは養成校でも教科書になることが多いですが、神経系理学療法においてはセラピストなら一度は聞いたことがある先生方から、若手で最前線で臨床研究や臨床現場に立っている先生が書かれた非常にみやすくて、わかりやすい書籍なのが特徴です。
- 脳機能とネットワーク
- 脳卒中の病態
- 脳画像
- 症状・疾患別理学療法
- ケーススタディー
内容に関しても上記のような脳に関する基礎的な知識から、脳画像の見方、疾患別の脳障害の病態や評価方法まで、幅広くかつ網羅的にまとめられている書籍です。
正直これ1冊あれば困ることがないぐらい有益な情報がわかりやすくまとまっているもんな~!
こちらは教科書にもなるぐらいなので、実習中の学生や、働き出した新人セラピストにとっても、書籍のタイトルにあるように標準(スタンダードな)の脳の知識や病態把握、評価や治療までがみることができる書籍になっています!
こちらは2013年に第1版が、2018年に第2版が発売されており、内容も第1版から2版では執筆者も多少変更され、書籍内の情報や内容も多少変わっているのがわかります。
個人的にも第2版になって内容がより臨床的になり、わかりやすくなった印象です!
序文でも編集者代表の森岡周先生より、
執筆者が経験した実際の症例の運動行動や病態をもとに,画像所見や神経メカニズム,疫学研究成果などの多方面から解説を加え,臨床での意思決定のプロセスを提示することを試みた.
ともすれば,われわれの臨床意思決定は自己の経験によるバイアスのみによって行われてしまう問題がある.病態を適切に把握する手続きなくして,臨床の成功には至らない.病態把握は臨床介入の羅針盤である.本書が神経障害の理学療法に携わる多くの関係者に手に取られることを期待したい.
神経理学療法学 第2版(2018)医学書院
つまり、脳神経科学における知識や技術を空論のものとせず、しっかりと理学療法の中で確立されたものとして、臨床で使える形にしたということがわかります。
書籍レビュー
初学者必見、脳機能に関する知識をほぼ網羅!
カンデル神経科学
とにかく見やすくて、わかりやすい!全セラピスト必見!
書籍の特徴
本書の特徴はとにかく、圧倒的な知識の量です!
全9パート67章から構成されていて、総ページ数は1649ページにも及ぶ一冊になっています。
内容的には初学者には難しいかと思いますが、ある意味他の本を読むのであれば、正直これ1冊で事足りるぐらい幅広い内容が網羅されています。
かなり分厚くて、見慣れない用語も沢山あるだろうけど、それでも絶対的にオススメです!
この本は2000年にノーベル生理学・医学賞を受賞したEric R. Kandel(エリック・カンデル)先生による、神経科学の教科書の王道中の王道の書籍になります。
海外論文をベースに、リハビリの知識に関わる『人の認知、運動、知覚』などの項目もあり、よくセミナーや学会などでも引用されることが多い書籍です。
私もこちらの書籍を参考に色々ブログ記事に出させてもらっています!
リハビリに最も関わるであろう運動のパートをみてもらえればわかりますが、かなり具体的な内容まで網羅されています。
- 第33章 運動の構成と計画
- 第34章 運動単位と筋活動
- 第35章 脊髄反射
- 第36章 歩行運動
- 第37章 随意運動:一次運動皮質
- 第38章 随意運動:頭頂葉と運動前野
- 第39章 視線の制御
- 第40章 前庭系
- 第41章 姿勢
- 第42章 小脳
- 第43章 大脳基底核
- 第44章 神経変性疾患の遺伝的なメカニズム
またこういった翻訳された海外書籍で一番困るのが、字が多くて非常に難解な文章といったイメージですが、かなりわかりやすい日本語訳がされており、それだけではなく、1,007点のフルカラー図版なのも良い部分です。
図が多いと本当にみやすいし、頭にはいってきやすい。
こちらのサイトから参考資料もみることができるので、是非一度みてみてください。
初学者以外でも、ある程度脳のことを学んだセラピストにとっても目から鱗な情報が沢山のっている非常にためになる書籍です。
書籍レビュー
見やすくて、わかりやすい!全セラピスト必見!
脳卒中理学療法の理論と技術 第3版
脳卒中リハビリに役立つ知識や考え方が満載!
書籍の特徴
脳神経科学の書籍では主に脳機能に関することがかかれていることが多く、臨床現場の実践ではどのようにその知識を活かすのかが難しい部分だと思います。
その中で本書の特徴は、タイトルにもあるように脳卒中リハビリにおける理学療法に特化した内容で、脳画像の見方や早期リハの重要についても書かれています。
理学療法とはありますが、CI療法や嚥下障害に対することも網羅されているため、幅広い脳卒中リハビリに関する部分が学べる書籍となっています。
特に私が勉強になったのは編集者である原寛実先生の運動麻痺回復ステージ理論を基にした考え方です!
なぜ早期リハビリが推奨されるのか、脳の可塑性とはどういったもので、脳卒中発症後に脳がどのように変化していくのかなど、それぞれの時期に応じてどういったリハビリテーションを組み立てる必要があるのか、といったことがかなりわかりやすくまとまっています。
本書のコンセプトでもある“エビデンスに基づく治療理論を、技術として臨床に導入する”という部分が強調され、第3版では、新たに「ロボットを用いた理学療法」,「ニューロリハビリテーション」の項目が追加されています。
また退院後の生活に関わる「歩行訓練・ADL訓練の進め方」といったより臨床現場に即した内容となっているもの特徴です。
書籍レビュー
脳卒中リハビリに役立つ知識や考え方が満載!
セラピストのための 脳卒中評価指標の解釈と活用
様々な脳卒中評価の意義や目的が実例を通して学べる!
書籍の特徴
学生時代から幾度となく学んで実践してきた評価方法ですが、その意味って明確に把握できていますか?
脳卒中の評価には代表的なブルンストロームや感覚検査、アシュワーススケールなど様々な評価バッテリーがありますが、それらの意味や数値を解釈することは臨床をする上でも、予後予測を立てる上でも非常に重要になります。
本書はそんな評価に焦点をあて、かつ新人セラピストや学生がみてもわかりやすいように、各評価の施行・解釈がフローチャートになってまとめられています。
以下のリンクよりサンプルがみれるのでそちらも参考にしてみてください。
本書で紹介されている評価バッテリーは51項目ありますが、以下にその一部を抜粋させてもらいます。
- Fugl-Meyer assessment(FMA)
- ブルンストロームの片麻痺回復段階指標(BRS)
- 上田式片麻痺機能テスト(12段階片麻痺機能法)
- modified Tardieu scale(MTS)
- 体幹コントロールテスト(TCT)
- 簡易上肢機能検査(STEF)
- 脳卒中ドライバーのスクリーニング評価 日本語版(SDSA)
- stroke specific QOL scale(SS-QOL)
いままで何気なく見ていた評価尺度に意味がもてるようになること間違いなしの書籍です。
書籍レビュー
脳卒中評価の意義や目的が実例を通して学べる!
リハビリテーションのための脳・神経科学入門
ニューロリハビリテーションの最先端!
書籍の特徴
近年ニューロリハビリテーションという言葉をよく耳にすることがありますが、そもそもニューロリハビリテーションとは何なのか?
そんな問いかけに対して筆者の森岡周先生が、「私自身が感じ、動く」といった脳卒中患者で起こる身体の問題を、身体所有感・運動主体感という2つの臨床的知見からまとめた書籍です。
パッと本書の説明を見た時には「私自身が感じ、動く」とはどういうことか理解できませんでしたが、本書を読み進めていくうちに、我々の運動が起こるときには脳で何が起こっているのかという部分が非常にわかりやすく、かつ様々な知見を通してまとめられています。
運動っていうとバイオメカや筋骨格系でみてしまいがちですが、大事な脳機能について書かれているのが特徴ですね!
第1版ではなかった、「脳損傷後の機能回復のメカニズム」や「運動学習」についても追加で書かれており、脳卒中リハビリを行う上での重要な内容が書かれています。
運動学習や麻痺の回復機能に関わる記事はコチラ!
運動前野の機能について
脳を勉強している中でよく目にする身体図式や慢性疼痛などについても脳の観点からその原因などが書かれており、とても理解しやすい内容になっています。
合わせてこちらの書籍も一緒にみるとより脳のことの理解が進みます。
様々な論文データなどの知見から得られる臨床に役立つ緑&オレンジ本!
書籍レビュー
ニューロリハビリテーションの最先端!
ヒトの動きの神経科学
学生にもオススメ!運動制御を学ぶ1冊
書籍の特徴
なぜヒトは転倒することなく様々な姿勢をコントロールしながら、滑らかな運動ができるのか?
こういった疑問で必ずでてくるのが運動制御や姿勢制御という言葉です。
つまりヒトが動くためにはどういった脳神経系が作用することで、筋収縮が起こったり、姿勢保持のために筋緊張の変化が起こるのかが、学生でもわかりやすくまとめている書籍になります。
とくに生理学的な要素としてなぜ反射が起こり、それらが統合されていくのか?
運動場面において大脳皮質や基底核、視床や小脳がどのような関わりの中で脊髄へ情報を送っているのかなど、学生自分にも聞いたことがある内容が、より臨床解釈しやすく書かれているのが特徴です。
学生時代から持っていましたが、ようやくここに書かれている知識が臨床に結び付きました!そうすると臨床での治療効果が格段に上がりました!
こちらの出版社ではその他にも運動制御や姿勢制御に関わる様々な書籍が出版されており、合わせて読むことでよりヒトの動きを脳から学ぶことができるのもオススメです。
書籍レビュー
学生にもオススメ!運動制御を学ぶ1冊!
リハビリテーションのためのニューロサイエンス
空論ではない事実を伝える書籍!
書籍の特徴
「奇跡のリハビリテーション」は、この世に存在するのだろうか。
リハビリテーションのためのニューロサイエンス(2015),メジカルビュー社
”はじめに”の冒頭に書かれている言葉ですが、リハビリをしていく上でなぜその患者さんは良くなったのか?何のどういった介入が脳に関係していたのか?
こういったリハビリテーションによる障害のからの機能回復を、神経科学の最新の知見をもとに機能回復の神経メカニズムの理解を試みるために書かれた書籍になります。
他とは違う特徴はセラピスト職種ではなく、脳研究の研究者が集まって書かれている点です。
研究者がかかれた書籍だからさぞかし難しいんだろうなっておもいきや、図も多用されていてとても読み応えのある1冊です。
そもそもリハビリテーションによって起こっている身体の変化、しいてはそれを脳の変化として捉え、なぜリハビリテーションが脳に良いのかについてもまとめられています。
また本書には、Webでみれる動画配信を行っており、文字や図だけではなく動画を通して学べるためより視覚的に捉えられることで学習効果があがります。
書籍の中には脳神経科学を学ぶ際にたびたびでてくる略語の一覧が記載されているのもオススメポイントです。
- DBS(deep brain sumilation):脳深部電気刺激療法
- IHI(inter hemispheric inhibition):半球間抑制
- MLR(midbrain locomotor region):中脳歩行誘発野
- VPL(nucleus ventralis posterolateralis):後外側腹側核(視床)
リハビリ効果が如何に科学的根拠があるのか、そしてその知識をどのように臨床応用していくべきかについて是非一読してみてはいかがでしょうか?
書籍レビュー
空論ではない事実を伝える書籍!
脳卒中治療ガイドライン2015
全セラピストが最も読むべき一冊!
書籍の特徴
『エビデンスに基づいた』、『ガイドラインに沿った』などといった言葉は一度は聞いたことがある用語だと思いますが、なぜこれほどまでにエビデンスやガイドラインが重要視されるのでしょうか?
リハビリ分野においてはより確立された治療を選択することは医療現場では必須で、それらを選択するための材料や根拠をしることは最低限身に着けるべき知識になります!
ある意味教科書というか説明書みたいなもんですね!
これ読まずして脳卒中のリハビリを語ってはいけませんね!
脳卒中における治療ガイドラインについては、アメリカや英国ではいくつかの診療ガイドラインが作成されていましが、我が日本では確立されたものがありませんでした。
そのため海外のガイドラインではそもそも扱う薬剤も違えば、病院等の入院環境や脳卒中発症原因や病型頻度も異なるため、諸国のガイドラインを使用することが必ずしも正しいことではありませんでした。
そこで、日本脳卒中学会が日本人による、日本人のための、日本のエビデンスを重視した脳卒中治療ガイドラインの作成を行ったのが2000年のことです。
そこから2017年、2019年と改定等がなされ、現在は『『脳卒中治療ガイドライン2015[追補2019]』となって、2017年追補から26項目が差し替えられています!
常に最新情報へとアップグレードされているということですね!
こちらの追補分は日本脳卒中学会のHPからでも閲覧が可能となっています。
エビデンスレベルやグレードに関しても詳しく説明されているので、本書をお持ちでない方も上記サイトのガイドライン追補資料の一読をオススメします!
過去にも脳卒中ガイドラインに関しては記事を書いていますので、ガイドラインがどういったものなのかが気になる方はそちらもチェックしてみてください。
脳卒中ガイドラインに新情報!2017年度追補版とは?書籍レビュー
全セラピストが最も読むべき一冊!
極めに・究める・脳卒中
臨床に役立つ知恵・知識が身につく!
書籍の特徴
本書のコンセプトが、
もうガチガチの教科書はいらない
極めに・究める・脳卒中(2018),丸善出版
本当に役立つ臨床の「知恵」がほしい!
といった形で、どちらかというと論文的な知見や教科書的な知識を盛り込んだ内容ではなく、職場での臨床家の経験則から語られるような内容が書かれた書籍です。
よく臨床場面でもこんな悩みや疑問ありませんか?
体幹の弱さで座位がとれない
転倒するのはバランスが問題
支持性が弱いから体重をかける
本書ではこういった臨床での疑問に対して何をみるべきか?どう考え治療に活かすのかをまとめた書籍で、経験則ではあるもののエビデンスが全くないといったものでもなく、学生や新人が先輩から教わるような感覚でとても読みやすい内容になってます。
よくある引用・参考文献が沢山のってる感じじゃない分、読んでてもすっと臨床に落とし込めるイメージです。
またイラストも見やすいのも一つの特徴です。
こちらは他にもシリーズ化されており、他の分野もとてもわかりやすくまとまっているので、新人や学生などの初学者でもとても理解しやすい書籍になっています。
書籍レビュー
臨床に役立つ知恵・知識が身につく!
脳卒中の動作分析
自費リハビリにも役立つ、治療の応用が学べる!
書籍の特徴
歩行分析や動作分析に関する書籍は数あれど、脳卒中に特化した動作分析に関することを学ぶなら是非オススメしたい1冊になります!
筆者の金子唯史先生は病院勤務時代にボバースを主として学ばれ、海外書籍の翻訳などにも携わり、海外研修などでも本場ボバースの知識や技術を学んでこられた経歴もあります。
そのため本書もそれらの臨床経験に基づき、脳卒中患者の病態をより細かくかつわかりやすく、そして運動学的・神経学的側面から捉えられた、とてもわかりやすい内容となっています。
あとはなんといっても他の書籍ではあまりみられないような臨床に即した論文(海外を中心に)の引用が多数されています。
書籍内では実際の患者様の写真などを基に説明されたりしているため、とてもイメージがつきやすく、またハンドリングの10ポイントということで、みるべきポイントが細かくまとまっているのが個人的にはすごくわかりやすくまとまっていると感じました。
本書における動作分析のポイントは、
- 基本動作
- 上肢操作
- 歩行
と大きく3つにわけられ、それぞに関する治療内容やポイントがまとめられているのが特徴です。
ボバース概念に関しては賛否両論ありますが、個人的には動作分析のポイント、ハンドリングの技術は素晴らしいものがあると思っています。
動作分析に難渋するセラピストには是非オススメの1冊となります。
書籍レビュー
自費リハビリにも役立つ、治療の応用が学べる!!
まとめ
以上が、2020年時点でのリハビリアイデア(@rehaidea)が実際に学ぶために使用した「脳卒中リハビリ」に関する書籍です。
臨床でよく難渋する脳卒中の病態は多岐にわたり、リハビリとして何を実施していくかは日々悩まされることが多いです。
だからこそ、日々知識はアップデートしながら、脳卒中患者様にとって最適なリハビリを提供するためにも、こういった素晴らしい書籍を学び、自己もレベルアップする必要があると思います。
今回は特に脳機能や病態把握、リハビリに必要な評価の視点が学べる書籍をピックアップしました。
その中でも自分が使ってみて、勉強になるものを是非探してみてください。
また新たなに書籍が増えた時は、こそっと追記している可能性もあるので、たまに当ブログを覗きにきてみてくださいね!
それでは、また!!
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