こんにちは、リハビリアイデア(@rehaidea)です。
よく臨床場面でも【感覚入力に伴う知覚認識】や【身体図式】などという用語を用いて説明される際に重要な脳機能として、この頭頂葉があげられます。
身体図式という言葉はよく聞くけど、いまいちしっくりこなくて・・・。
頭頂葉は、大脳皮質において前方の前頭葉、側方の側頭葉、後方の後頭葉の3つの領域の間に存在し、感覚機能として前方の感覚野(3,1,2野)や後頭葉からの視覚野からの情報入力が集まる部位として、ヒトが動作をするために必要な感覚情報を統合する役割をもちます。
この頭頂葉は前方頭頂葉にあたる体性感覚野(3、1、2野)のエリアと、後部頭頂皮質として、頭頂間溝という溝を境に上部を上頭頂小葉(5、7野)、下部を下頭頂小葉(39、40野)のエリアに分けられます。
さらに、この部位の特徴として左右の大脳半球においても異なる機能を有しており、臨床的にも障害部位の同定をしていくことは機能予後を考える上でも非常に重要な部位となります。
頭頂葉にはヒトが運動をしていく上でも非常に重要な機能が沢山備わっている部位になるんだよね!
今回はこの頭頂葉の中でも無意識的な感覚入力に重要な上頭頂小葉(5野、7野)をどのように脳画像から同定していくかについてまとめていきたいと思います。
- 上頭頂小葉の位置が理解できる
- 上頭頂小葉を脳画像から探すことができる
- 上頭頂小葉の血管支配領域が理解できる
それではスタート!
目次
頭頂葉に分類される上頭頂小葉とは?
頭頂葉は中心溝の後方で、前方を前頭葉、後方を後頭葉、側方を側頭葉に囲まれた領域になります。
この頭頂葉は体性感覚野である3、1、2野と、連合野である上頭頂小葉と下頭頂小葉(頭頂間溝を境に)に分けられ、上頭頂小葉はブロードマンエリアの5、7野にあたる部分になります(下頭頂小葉は39、40野)。
頭頂葉の主な機能としては、沢山の異なる感覚情報が集まる領域として、その情報の統合を行う連合野としての機能をもつのが特徴になります。
その中でも、上頭頂小葉(5、7野)は感覚野からの情報として、表在・深部感覚の身体に入った情報と、そこから感じる形や重さ、手触りなどの情報を統合(知覚)する領域となります。
また後頭葉からの視覚的な情報を基に、位置の把握(自分が今どこにいるのか)や、方向の認識(どの方向に向かっているのか)などの空間情報に対する認識にも強く関わります。
そしてこの体性感覚と視覚といった異なる情報を統合することで、頭の中での自分の身体がどうなっているかの認識が可能となり、それらは脳の中でも常にアップデートされながら変化していく特徴を持ちます。
こういった多種多様な感覚情報が入力され、そして統合されることで自分の体の認識ができ、これを身体図式というんだね!
よくいう頭の中にあるもう一人の自分という意味はこれのことですね!
そうそう!そして、特に上頭頂小葉は意識にのぼらない(無意識での)形での身体認識に強く関与するとされているんだよね!
- 頭頂間溝を境に分けられ、ブロードマンエリアの5、7野の領域にあたる部分
- 意識にのぼらない自己身体の認識(身体図式)に関わる
- 5野は特に体性感覚と、7野は視覚野との強い連結をもつ
では、この上頭頂小葉を脳画像で見た際にはどういった位置関係にあり、脳画像からどうやって同定していくのか、そしてどういった血管支配があるのかについてまとめていきたいと思います。
上頭頂小葉がみれる脳スライスのレベルはどれ?
大脳皮質の中のブロードマンエリアだからみるべき脳画像はより表層に近い脳画像ですね!
そうそう!表層に近いということは脳の溝(脳溝)がみえる脳画像を探すということだったね!
さらに上頭頂小葉は頭頂レベルの下のスライスの半卵円中心レベルの脳画像でもみつけることができるため、大きく2つの脳画像から同定しないといけません。
まず上頭頂小葉がみれる脳画像を見つけていくのですが、大脳皮質のブロードマンエリアがみえる脳画像の領域はスライスレベルの一番上の脳のみぞ(脳溝)が多い画像を探します。
この脳画像のスライスレベルを頭頂レベルといいます
頭頂レベルのスライスをみる場合に、まずみるべきポイントは脳溝と脳回を把握するということです。
脳回・・・大脳皮質にある『しわ』の隆起した部分をいいます。脳回は1つ、ないし複数の脳溝によって囲まれています。
その中で、今回の上頭頂小葉を探す際に重要な頭頂レベルでみるべき脳回は中心後回(一次体性感覚野)になります。
一次体性感覚野の脳回が同定ができれば、一次体性感覚野の後方にあり、かつ頭頂間溝で分けられた上部の領域を探していきます。
中心後回(一次体性感覚野)の脳回を探した次に、その後方にある中心後溝を探していきます。
中心後溝は中心溝の後方にみえる太い脳溝になりますので、逆Ω(オーム)字の中心溝を同定してからみつけていくことをオススメします!
中心後溝が同定できた次は、そこに連結する頭頂葉の上下を分ける頭頂間溝を探していきます。
頭頂間溝の特徴は中心後溝から垂直に下りる漢字の丁(ちょう)の字の溝の形をしているのが特徴です(スライスの高さによってはきれいに見えない場合があるので、あくまでも指標程度にしておいてください)。
この頭頂間溝を境に上部を上頭頂小葉、下部を下頭頂小葉に分けられるのですが、水平面でみた際の脳画像(立体的に捉えた際)としては、内側に上頭頂小葉、外側に下頭頂小葉が配置されます。
上頭頂小葉においては前方と後方で5、7野に分けられますが、こちらは明瞭な境界線はありません。
頭頂レベルのスライスと同様に中心溝や中心後溝、そこからおりる頭頂間溝の脳溝を指標に上頭頂小葉の場所を同定していきます。
このスライスレベルでは後頭葉領域も徐々に拡大し、また下頭頂小葉が占める領域も大きくなるため、半側空間無視や失認などの病態に応じて、頭頂葉領域の脳の損傷程度などを十分に把握しておく必要があります。
上頭頂小葉における血管支配領域は?
脳画像の部位の同定と合わせて、脳画像を見る上でもう一つ重要な要素の中に血管支配領域があります。
頭頂レベル・半卵円中心レベルのスライスでは2つの大きな血管支配をうけ、内側を前大脳動脈、外側を中大脳動脈が血管支配を行っています。
上頭頂小葉は前・中大脳動脈からの支配領域をうけ、下頭頂小葉は外側になり中大脳動脈から分岐した角回動脈によって支配を受けます。
つまり、中大脳動脈と前大脳動脈による脳梗塞では、上頭頂小葉の機能に影響を及ぼす可能性があるということを理解しておいてください!
上頭頂小葉の同定のまとめ
- 上頭頂小葉は頭頂レベル・半卵円中心レベルのスライスを探す
- 中心溝・中心後溝をみつけ、中心後溝と交わる頭頂間溝を明確にする
- 頭頂間溝を境に上部を上頭頂小葉(脳画像では内側)、下部を下頭頂小葉(脳画像では外側)に分けられる
- 上頭頂小葉の5、7野に明瞭な境はなし
- 上頭頂小葉の血管支配は前・中大脳動脈支配になる
上頭頂小葉(5、7野)は運動実行においてもその前段階として、特に体性感覚・視覚情報からの情報入力を統合することで空間における自己身体の認識に関わる領域として非常に重要な役割を果たす部位です。
半側空間無視による左半身の空間認識や失認といわれる自己身体の認識に関わることで、この部位の障害では様々な高次脳機能障害における問題が生じます。
故に、脳障害による高次脳機能障害を考えた場合に、どの程度脳損傷があり、それが脳の中でのネットワークとしてどの部位との連結に強く影響を及ぼしているのか(より後方部分に障害があれば後頭葉と合わせた視覚情報を基にした自己身体認識に影響を及ぼす)を脳画像から同定していく必要があります。
実際の運動をする際にも自分の体の認識のあり・なしで運動面にも非常に大きな影響を与える可能性があるからね!
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