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尾状核を脳画像から見つける方法

運動を司るうえで非常に重要な大脳基底核ですが、実はこの基底核は一つの核として大脳基底核というものが存在するわけではなく、様々な核の集合体として存在し、その機能もそれぞれの核の繋がりによって構成されています。

それらの繋がりによって運動の調整や眼球運動のコントロール、認知機能や記憶に関する様々な機能に関わる重要な部位になります。

その中でも、大脳基底核の一つとして存在する尾状核(線条体のひとつ)ですが、解剖学的な構造としては3つの部位に分けられ、脳画像で見た際にもスライス上で見え方が異なります。

今回は、この尾状核を脳画像から見つけるためのポイントについてまとめていきたいと思います。

この記事を読むことで知れること!
  • 尾状核を脳画像から探すことができる
  • 尾状核の血管支配領域が理解できる

それではスタート!

尾状核の機能とは?

大脳基底核の5つの核の一つとしてとても重要な尾状核ですが、基底核の中では被殻とともに線条体の一部として位置づけられています。

大脳基底核の5つの核の名称

線条体という名前の通り、多数の線状の細胞橋により結合されており、内包によって尾状核被殻と分断しているが、本質的には同一であり、発生や機能ともに類似しているのが特徴である。

NOTE
内包には前脚、後脚と位置によって分けられ、尾状核と被殻で分けられた領域は内包前脚といい、ここには視床から前頭前野への投射線維である前視床放線や前頭前野から橋への投射線維である前頭橋路が存在する

尾状核の解剖学的な構造は視床を囲むようにC型の形をしており、構造上大きく3つの部位に分けられます。

尾状核の解剖
尾状核の部位
  • 尾状核頭
  • 尾状核体
  • 尾状核尾

これら3つに分けられる尾状核ですが、主な機能としては、新しい順序運動の学習に関わることが報告されており、その他各部位としてはまだまだ不明な部分も多いですが、脳の各部位と連結することで、それぞれに機能が異なるのが特徴です。

特に位置的にも前頭葉に近い尾状核頭や尾状核体は、前頭葉と連結することでネットワークを作り、前頭葉に関連した機能を有します。

尾状核の機能
  • 頭部:前頭前野機能の制御、直観的思考
  • 体部:前頭眼野機能の制御、認知、記憶
  • 尾部:サッケード(急速眼球運動)

では、この尾状核ですが、脳画像で見た際にはどのような位置関係になっているのでしょうか?

尾状核を脳画像からみつける方法

尾状核を脳画像から探していく際には、側脳室をみつけることが重要で、解剖学的な位置関係として、側脳室前角から下角にかけて、側脳室外側部に接しているのが特徴です。

側脳室がみえる脳画像は2つの代表的なスライス(水平面)でみることができます。

側脳室体部レベル
松果体レベル
側脳室がみえる脳画像スライスレベル
  • 側脳室体部レベル
  • 松果体レベル

尾状核を探す:側脳室体部レベル

側脳室体部レベルのスライスの特徴は側脳室が八の字の形として見える画像で、別名【八の字レベル】といわれることもあります。

この領域では放線冠に運動麻痺に関連する皮質脊髄路が通過するスライスとして臨床上でも非常に重要なスライスレベルの脳画像になります。

皮質脊髄路に関する記事はこちら

側脳室体部レベルからみえる尾状核は尾状核体の部分になり、側脳室に隣接した部分に存在します。

尾状核体の脳画像の見つけ方

尾状核を探す:松果体レベル

それに対して尾状核頭尾状核尾はその下のスライスである【松果体レベル】のスライスからみつけることができます。

リハアイデア
リハアイデア

この松果体レベルはその他に、被殻や淡蒼球といった基底核があるスライスで、さらには内包や視床など、脳出血の症例を見る上で必ずチェックしないといけない脳画像ですね。

カスミ
カスミ

確かにこのスライスの脳画像をよく担当でみることがあります。

ここでは同じように側脳室に隣接するのですが、尾状核頭側脳室前角と、尾状核尾側脳室後角と隣接します。

尾状核頭・尾状核尾の脳画像の見つけ方

尾状核を支配する血管支配領域は

脳画像を考える上で重要なのは脳スライスのどの部位にその核があるのかを知ることと、もうひとつは血管支配領域を知ることです。

脳卒中の基本的な問題は血管が破れる脳出血か、血管が詰まる脳梗塞に大別されるため、それぞれの脳部位がどのように血管支配されているのかを把握することで、障害された病態を理解する一助となるのです。

リハアイデア
リハアイデア

特に尾状核みたいに複数のスライスレベルにまたがる場合は、尾状核でも血管支配がすべて一緒だとは限らない場合があるんだよ!

カスミ
カスミ

同じ尾状核でも血管支配がことなるですか?
それはしっかりと脳画像と血管支配を理解しないといけませんね。

では、実際に尾状核におけるそれぞれの血管支配領域をみていきたいと思います。

側脳室体部レベルの血管支配領域

側脳室体部レベルの血管支配領域

上記図を見るとわかるように、側脳室体部レベルでは、前大脳動脈中大脳動脈後大脳動脈の3つの血管支配があることがわかります。

そのうち尾状核体は側脳室の外側に位置し、実はこの位置は一部中大脳動脈から分岐したレンズ核線条体動脈が血管支配をしています。

尾状核体部の血管支配

中大脳動脈・レンズ核線条体動脈によって支配される

次に松果体レベルでみていきましょう!

松果体レベルの血管支配領域

松果体レベルでは、尾状核頭尾状核尾はそれぞれ側脳室の前角・後角に隣接する形で配置されています。

松果体レベルの血管支配領域

血管支配領域においては、尾状核頭レンズ核線条体動脈(中大脳動脈からの分岐)、一部前大脳動脈からの血管支配を受け、尾状核尾前脈絡叢動脈からの血管支配を受けていることがわかります。

尾状核頭・尾の血管支配領域
  • 尾状核頭:レンズ核線条体動脈(一部前大脳動脈)
  • 尾状核尾:前脈絡叢動脈
リハアイデア
リハアイデア

つまり、一つの神経核でも尾状核の特徴は様々な血管支配を受けていることがわかるね!
つまり一つの血管が詰まっても尾状核はすべてが障害を受けるというわけではなさそうだね!

尾状核に関する脳画像のまとめ

尾状核を脳画像からみつけるためのポイント
  • 側脳室がみえる脳画像スライス(側脳室体部レベル・松果体レベル)を2つ探す
  • 尾状核は3つの領域(尾状核頭・尾状核体・尾状核尾)に分かれ、それぞれ脳画像上みえる場所が異なる
  • 尾状核は一つの核でありながら血管支配が豊富

尾状核は大脳基底核の核の一部を担い、解剖学的な位置関係より前頭葉との連結が強いことから認知機能や記憶などに関わります。

この尾状核を探す場合はまずは脳画像のスライスでも2つのスライス(側脳室体部・松果体レベル)を見る必要があり、その中でも側脳室を同定することが重要になります。

そして、この尾状核は3つの領域(尾状核頭・体・尾)に分けられ、脳画像スライスでも場所が異なります。

また血管支配領域でも尾状核はひとつの血管支配ではないため、脳梗塞の場合はどの血管が詰まったのか、どういった臨床症状が出現しているのかを病態理解と合わせてみていく必要があります。

尾状核障害によってでてくる臨床上はこちらも是非参考にしてみてください!

【有料】基底核病変に対する臨床推論とは?運動の問題を3つの経路から考える!

参考文献

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