理学療法士・作業療法士を目指す学生さんにとって一年で最も大事で、最も過酷な国家試験ですが、一体何を準備して、何を学べば良いのでしょうか?
リハアイデア
少しでも点数を確実にとるためには何を勉強すべきか、そして何を覚えておくべきかは、個々の知識に依存されますが、その中でも、最近の理学療法・作業療法の国家試験において脳血管疾患に関する領域がかなりの比重を占めています。
そこで、必ず出題されるのが、脳画像や脳機能部位に関する問題です。
もう試験前だから今更、脳画像や脳の細かな機能を覚えるのは正直難しいなって感じている学生や、もうそこは捨てて、違う分野を勉強しようとされている方も少なからずいるのではないでしょうか?
リハアイデア
だからこそ、学生の方々にとっても、まずは脳画像をみる上で押さえておくべき点について、過去問を参考にリハビリアイデア(@rehaidea)の目線でまとめてみることにしました(※但し絶対の補償ではないので、そこは自己責任でお願いしますね)。
少しでも、参考になればとの思いで書いていますので、ご興味のある方やこれから少しでも脳画像を勉強しようと思われた学生さんは是非参考にして頂ければ幸いです。
そして記事が参考になって勉強になったという方がいれば、是非お近くの国家試験に臨む同志たちに拡散して頂ければ、記事を書いた甲斐もでてきますので、よろしくお願いいたします。
それでは実際に過去問から脳画像に必要な知識をみつけていきましょう。
目次
脳画像の画像診断(種類から判別)
脳画像を勉強する上でまず把握しておいてほしいのが、CTとMRIの違いについてです。
問題に『CTやMRI』と直接記載されていれば大丈夫ですが、画像と病態(〇〇出血or●●梗塞)を結びつけるといったような出題においては、対象となる画像が、出血ならどう映る?梗塞ならどんな画像になる?といった特徴を理解しておく必要があります。
まずはCTとMRIの違いについてみていきたいのですが、一番簡単に見分ける方法があります。
それは脳実質の周りにある頭蓋骨が分厚いか分厚くないか(もしくは頭蓋骨が移ってないか)という点です。
頭蓋骨が白く分厚く映っているのはCT画像になります。
そして、CT画像の特徴は出血の場合、その出血部位が白く映り、梗塞の場合は、その梗塞部位が黒く映るいう点です。
CT画像の覚え方
Shukketsu(出血)- Shiroi(白い)
Kousoku(梗塞)- Kuroi(黒い)
CT画像をみるのを極めたいという方はこちらの記事もどうぞ!
脳画像のCTはここをみろ!!CTの見方から脳出血と脳梗塞の違いまで徹底網羅!逆にそれ以外(頭蓋骨が分厚くないもしくは移っていない)はMRIに分類され、MRIの特徴は脳梗塞の診断に用いることが多いという点です。
MRIの場合はCT画像とは異なり、脳梗塞部位は高吸収域として白く映る場合が多いです。
まとめると・・・
- 頭蓋骨が分厚く(CT画像)、病巣が白い場合は〇〇出血
- 頭蓋骨がないもしくは薄く(MRI画像)、病巣が白い場合は脳梗塞
が正解になります。
リハアイデア
脳画像を徹底的に学んでみたい方はこちら!
脳画像におけるCT・MRIの見方!!みるべきポイントさえ押さえれば、脳画像は簡単に見れる!!
過去の出題
〇2011年理学療法士国家試験の問題
【問】
75歳の男性。 高血圧と糖尿病の治療を長期にわたり行っている。 徐々に歩行障害がみられるようになり、 転倒することが多くなった。 頭部MRIを示す。画像所見で考えられるのはどれか。
【選択肢】
1:視床出血
2:硬膜下出血
3:くも膜下出血
4:正常圧水頭症
5:多発性脳梗塞
【解答】5
〇2016年MRIの画像診断
【問】
突然の左不全片麻痺を呈して搬送された患者の発症後3時間の頭部MRIの拡散強調画像を示す。最も考えられるのはどれか。
【選択肢】
1:脳出血
2:脳梗塞
3:脳腫瘍
4:脳動脈瘤
5:くも膜下出血
【解答】2
そのほかの病態を表す画像の特性として、
- 腫瘍の場合はT2(脳室が白く、全体的に白い感じの画像)
- 動脈瘤の場合はMRA(血管造影画像)
- くも膜下出血はCT
となるのでこちらも合わせて覚えておくことをお勧めします。
スライスレベルにおける脳部位の同定
次にスライスレベルにおいて部位を問う問題について解説していきます。
視床出血はどの画像?小脳出血は?といったように脳の出血部位の名称と画像が一致しているかをみつける問題ですが、こちらはどこに何があるかを脳画像のスライスレベルをある程度頭に覚えておく必要があります。
おそらくその中で出題率が多いのが、側脳室体部レベル・松果体レベル・脳幹レベルが大半だと思います。
それ以外の脳画像のスライスレベルで多く出てくる場合は、解答がくも膜下出血が多いような印象です。
それでは一つずつスライスの部位の特定をしていきましょう。
リハアイデア
まずは皆さんがみなれている水平面上でのスライスの画像になります。
側脳室体部レベル
側脳室体部レベルで、脳画像の出題傾向が高い部位としては、頭頂葉か放線冠に出血or梗塞部位があるかどうかになります。
側脳室体部レベルのみるポイント
①八の字になった側脳室の真ん中付近に病変があるか
②八の字の下側に病変があるか
どちらかになります。
①の真ん中にある場合は放線冠、②の下側にあるのが頭頂葉(下頭頂小葉にあたる39、40野)になります。
放線冠についてもう少し詳しく知りたい方はこちら!
皮質脊髄路(錐体路)を脳画像から簡単に見つける方法!運動麻痺を理解する5つの見るべきポイントとは?
頭頂葉レベルの障害で出現しやすい半側空間無視を知りたい方はこちらもどうぞ!
半側空間無視が出現する脳障害部位とは!?責任病巣は頭頂葉だけではなかった!松果体レベル
松果体レベルでは視床・被殻がみえるレベルなので、どちらかの病名が画像における部位と一致しているかどうかで判断してもらってよいと思います。
その中で一つ指標になるのが、脳室の近くの出血か、遠くの出血かということになります。
松果体レベルのみるポイント
①脳室に近い部位の出血(内側側に出血巣が広がっている)では視床出血
②脳室から遠い部位の出血(片側の脳の真ん中~外側に出血巣が広がっている)の場合は被殻出血
脳幹レベル
脳幹レベルでは、脳幹の病変か、小脳の病変かの判別になってきます。
脳幹の場合は中脳や橋などは大体脳のスライスの真ん中ぐらいに孤立してある部分が脳幹になるので、そこに病変がある場合は脳幹出血になります。
そして、後ろ側にある扇状に広がった部分が小脳になるので、そちらに病変があれば小脳出血になります。
脳幹レベルのみるポイント
①脳画像の真ん中にある孤立した部位は脳幹
②後ろに扇状に広がった、しわの多い部位は小脳
また、脳幹は上から、中脳・橋・延髄と大別されます。
それぞれに形の特徴から簡単に見分けることが可能になってきますので、ご参考までに。
脳幹を分けるためのポイント
①ミッキーマウスの形
②奥歯の形
③おならずもの(妖怪ウォッチ)の形
それぞれのスライスレベルの細かな部位は後半に解説していきます。
その他のスライスレベル
そのほかのスライスレベルのポイントとしては、通常のCT画像では黒く映っている脳室内に出血巣があり、脳の全域におおよそ左右同じように白く大きく広がっている画像が出てくる場合があります。
その画像はくも膜下出血の画像の割合が高くなるので、CT画像をみたときに全体的に脳が白くなっているものは、特定の〇〇出血といった部位の画像ではないことを理解しておいてください。
冠状面上のスライス
大半の脳画像のスライスは水平面上の普段皆さんが見慣れた脳画像がでてくると思うのですが、たまに脳を横から切った冠状面上(コロナール)でのスライスの問題の出題もあります。
この際は画像のどの部位が何にあたるかという部位を示す問題になるのですが、この画像を用いて部位を探す場合は、海馬の位置を聞いていることが多い印象です。
なのでまずは海馬の位置を把握しておいてください。
冠状面での脳画像をみるポイント
①海馬の場所を探す
②海馬は脳の真ん中にあるコブ(脳幹の橋)のすぐ側方に位置する
そのほかに位置関係で覚えておいてほしいのが、Y字の形をした側脳室です。
CT画像やMRIのT1では脳室自体は黒くなりますが、T2では脳室は白く映るため、だいたい真ん中にあるY字の大きな部位は側脳室だと判断してください。
そして、もうひとつ重要なのが、側脳室のすぐ隣に基底核の中の尾状核があるので、そちらも合わせて覚えておくことをお勧めします(2013年48回に出題あり)
過去の出題
〇 第52回(2017年)理学療法士国家試験の問題
【問】
頭部 MRI の T1 強調冠状断像を図に示す。 矢印の部位はどれか。
【選択肢】
1. 前頭弁蓋 2. 帯状回 3. 尾状核 4. 海 馬 5. 島
【解答】4
〇 第50回(2015年)理学療法士国家試験の問題
【問】
頭部 MRI の T2 強調冠状断像を図に示す。海馬はどれか。
【解答】3
①は側脳室(T2強調画像なので脳室が白く映るのが特徴)
②はY字の縦線のすぐ内側なので視床にあたる部分になります。
③が問題に問われている海馬の位置になります。
④は真ん中の大きなコブなので脳幹の橋になります。
⑤は海馬と間違えられやすいですが、橋からも少し離れるため下側頭回になります。
矢状面上のスライス
こちらも過去に出題があった脳画像ですが、矢状面上での脳画像の問題になります。
こちらは毎回出題される確率は低いので、ある程度の位置把握をまずは押さえておくことが必要になっていきます。
その中で、矢状面上で重要になってくるポイントは脳幹・小脳レベルがより立体的にイメージできるという点にあります。
なので、正常と比べてどのような変化があるのか(小脳の萎縮に関して過去出題あり)をみる必要があります。
その際に、脳幹レベルではどの部位の障害があるのか(上部なら上小脳脚との関係から失調の要素を、下部なら下小脳脚との関係から感覚の要素を)考える必要があります。
スライスレベルと脳機能
各スライスレベルの脳画像から考えられる症状を問う問題が脳画像の問題としても最も出題頻度が多いように感じます。
しかし、各スライスをそれぞれ明確に記憶するにはかなり時間がかかります。
ここでは、出題頻度の多い側脳室体部レベル、脳幹(中脳・橋・延髄)レベルについてまとめていきたいと思います。
側脳室体部レベル
この部位で大事になるのが、頭頂葉の領域の問題です。
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側脳室体部レベルでの頭頂葉の部位は八の字の下側(下頭頂小葉にあたる39、40野)になります。
この部位がなぜ、国家試験の出題率が高いのかは、頭頂葉では実に様々な病態が出てくるからです。
この辺はすぐに理解しなくても良いですが、余談までに何故そのようなことが起こるかといいますと、
リハアイデア
そして、それら機能が、
リハアイデア
以下に左右の領域に分けた症状を記載しておきます。
- 半側空間無視
- 病態失認
- 地誌的失見当識
- 着衣失行
半側空間無視に関してもっと勉強したい方はこちら!
半側空間無視のリハビリに必要なメカニズムを徹底解説!無視ではなく注意障害という観点から!- 肢節運動失行
- 観念運動失行(ジェスチャー)
- 観念失行(物品使用)
- ゲルストマン症候群(失算・失書・左右失認・手指失認)
この症状に関しては是非覚えておいて損はないはずなので、絶対に反復して覚えておいてください。
過去の出題
〇第52回(2017年)作業療法士国家試験の問題
【問】
右利きの患者の頭部CTを別に示す。最も考えられる症状はどれか。
【選択肢】
1:左半側空間無視
2:視覚失認
3:着衣失行
4:左右失認
5:片麻痺
【解答】4
消去法で考えていくと、1と3は右半球の障害で生じる病態のため間違い。2の視覚性失認(物体失認と相貌失認)の病巣は両側後頭葉~頭頂葉であるため、これも間違い。5はこの部位では錐体路である経路は通らないため、よって正解は4のゲルストマン症候群として生じる左右失認である。
〇第52回(2017年)理学療法士国家試験の問題
【問】
60歳の男性。右利き。脳梗塞を発症し、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。
食事時に右手でスプーンの柄を握りこんでしまい、うまくスプーン操作ができず、介助が必要になることが多いが、少しずつ食事動作が円滑にできる場面が増えてきている。
頭部MRIを図に示す。この食事動作の病態として考えられるのはどれか。
【選択肢】
1. 観念失行
2. 視覚性失認
3. 運動維持困難
4. 右上肢運動麻痺
5. 右上肢深部覚障害
【解答】1
3の運動維持困難の病巣は右頭頂葉~前頭葉なのでこれも間違い。
4の右上肢運動麻痺は放線冠である錐体路の障害がないため間違い。
5の右上肢深部覚障害の病巣としては正直怪しいところで厳密には、感覚が統合されるので臨床的には障害がでてもおかしくない部分。
ただ解答として最も適切なのが、1である左頭頂葉の病巣が観念失行の責任病巣となるのでこれが一番適切な解答になる。
〇第50回(2015年)理学療法士国家試験の問題
【問】
65歳の男性。右利き。脳梗塞による片麻痺。脳梗塞による片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢、手指、下肢ともに3。
回復期リハビリテーション病棟では車椅子で移動している。発症後 3か月の頭部 MRIを別に示す。
A.出現しやすい症状はどれか。
【選択肢】
1. 観念失行
2. 左右障害
3. 純粋失読
4. 半側空間無視
5. 非流暢性失語
【解答】4
これも消去法で考えると、1、2、3は左半球の頭頂葉障害になり間違いになります。
5は言語機能になるためこちらも左半球で、その中でも非流暢性失語は、ブローカ野で起こりやすいので間違い。
残る4の半側空間無視が右半球障害にでる症状のため、これが正解になります。
B.この患者が基本動作練習を開始した際に観察されるのはどれか。
【選択肢】
1. 左側からの方が起き上がりやすい。
2. 座位練習で右手を支持に使うことができない。
3. 立位保持では両下肢に均等に荷重ができる。
4. 車椅子駆動の際に廊下の左壁によくぶつかる。
5. 練習を繰り返しても装具装着の手順を間違える
【解答】4
1、3は左側身体機能に全く問題がなければ可能だろうが、恐らく臨床的には先ほどの半側空間無視の病態も加味すると、左側が使いにくいことが理解できる。
なので、どちらも不適切な解答なる。
2は左半球の障害なら右麻痺等が出現する可能性があるが、今回の症例は右半球の障害なので間違い、5は道具操作などの観念失行の要素があるため、こちらも左半球の障害の際に出現しやすい現象となる。
よって正解は4の左側の空間を無視してぶつけてしまうといった現象が正解となる。
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脳幹レベル
ここでは脳幹レベルの画像として、中脳・橋・延髄のそれぞれの部位についてみていきたいと思います。
ここでは細かな解剖部位は置いておいて、国家試験にでる確率の高い部分にのみ絞って記載させてもらいます。
そこでキーワードになるのが、運動を司る錐体路、体幹や意識を支配する網様体路、感覚を司る脊髄視床路が重要になってきます。
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脳幹レベルの画像でみるべきポイント
①:運動は前
②:体幹・意識は真ん中
③:①と②の間に感覚経路
④:脳神経核やその他は後
これは各スライスの画像をみてもらったら分かると思うので、是非頭の片隅においておいてください。
では実際に、それぞれのスライスの画像をみていきましょう!
中脳
中脳は脳画像でみるとちょうどミッキーマウスに似た形になってきます。
そのミッキーの耳の部分に随意運動を司る錐体路(皮質脊髄路)が走行しています。
そして真ん中部分にあるのが網様体で、錐体路と網様体の間にあるのが感覚経路、一番下側にあたる部分は中脳蓋(四丘体)になります。
つまり、前には運動、真ん中は体幹と意識、その間に感覚、後ろはその他(視覚機能など)になります。
それぞれの部位で障害を受けると・・・
- 前方の障害-運動麻痺
- 真ん中付近の障害-意識障害・体幹機能低下・感覚障害
- 後方の障害-視覚障害
過去の出題
〇第50回(2015年)理学療法士国家試験の問題
【問】
中脳レベルの横断面の模式図を示す。錐体路はどれか。
【解答】5
また消去法で考えていくと、1は後方にある上丘、2は赤核(網様体もこの近くにあるため、どちらかの判定は難しい)、3はミッキーの耳のやや後方で黒質になります。
4は脳神経核の動眼神経核になるので、答は5になります。
橋
橋も下の図のように6等分に分けて覚えてもらうとわかりやすいと思います。
前方にあるのが、中脳と同様に錐体路(皮質脊髄路)になります。
真ん中の領域にあるのが、中脳と同じく網様体路で、その間が感覚経路になります。
そして、後ろは脳神経核の三叉神経核が集まる部位になります。
ちなみに三叉神経は脳神経の中でも最も太く、顔面の知覚情報や、咀嚼に関わる筋群のコントロールがあるため、この部位の後方での障害では嚥下障害などが出現しやすくなります。
過去の出題
〇第50回(2015年)理学療法士国家試験の問題
【問】
55歳の男性。突然のめまいを自覚し、歩行困難を呈したため搬送された。頭部MRIのT1強調像を図に示す。
みられる所見はどれか。
【選択肢】
1:JCSⅢ-100
2:左顔面の痛覚低下
3:左上肢の小脳失調
4:右上肢の運動麻痺
5:左下肢の深部感覚低下
【解答】5
1のJCSⅢ-100は意識レベルの低下を表すが、説明文でめまいと歩行障害となるためこちらは不適切。
ならば5の深部感覚障害が怪しくなる。
その他をみていくと、2、3は延髄障害によるワレンベルグ症候群の症状となるので不適切。
4は橋の前方に障害がないため麻痺はでない。
よって答えは5が正しいと言える。
延髄
最後の延髄レベルにおいても、先程の中脳・橋同様前方に運動、真ん中に網様体は変わりません。
しかし、このレベルで重要なのが、後外側の障害によって起こってくる病変が最も有名な部分になります。
皆さんも一度は聞いたことがあるワレンベルグ症候群です。
ワレンベルグ症候群の特徴は運動麻痺や深部感覚障害がないが、障害側の失調症状(右側の延髄の障害であれば右側の上下肢の失調症状)が出現します。
そして感覚の障害としては障害側の顔面の温・痛覚障害、反対側の上下肢の温・痛覚障害(右側の延髄の障害に対して、右側顔面の温・痛覚、左側上・下肢の温・痛覚障害)が出現してきます。
リハアイデア
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その他出現する症状としては、めまいや嘔吐、カーテン徴候や嚥下障害、同側の突進現象、ホルネル症候群(瞳孔の異常)などもみられます。
- 失調症状
- 顔面の温・痛覚障害
- めまい
- 嚥下障害
- カーテン徴候
- ホルネル症候群(眼瞼下垂・縮瞳・眼烈の狭小化・病側顔面の発汗低下)
- 突進現象
- 味覚障害
非障害側
- 上下肢の温・痛覚障害
過去の出題
〇第50回(2015年)理学療法士国家試験の問題
【問】
右延髄背外側部の脳梗塞による障害で認められるのはどれか。
【選択肢】
1:左内反足
2:右下垂足
3:右の痛覚脱失
4:左の深部感覚障害
5:右下肢の運動失調
【解答】5
深部障害も出現はしないので4も不適切になります。
障害側が右側なので、出現する症状としては、右側の運動失調、右側顔面の温・痛覚障害、左側上・下肢の温・痛覚障害になります。
3の痛覚脱出は顔面ならありますが、上・下肢は左側なので、一番適切な5の右側運動失調なので、答は5になります。
【問】
58歳の男性。生来健康であったが、突然のめまいと歩行困難で救急搬送された。脳梗塞の診断で理学療法が開始された。
理学療法の初期評価では、めまい、眼振とともに、右側には小脳性の運動失調、Horner症候群および顔面の温痛覚障害がみられた。
左側には上下肢の温痛覚障害がみられたが深部感覚は保たれていた。病巣はどれか。
【解答】4
そのため右側の延髄外側部に病巣がある画像が正解となり、4が答えとなります。
まとめ
すべてを網羅できたわけではありませんが、まずはこの程度の脳画像に関する知識を整理して、理解しておけばある程度の問題がきても対応可能かと思います。
リハアイデア
ただ、国家試験は当日にならないとどういった問題が出るかわからないので(当たり前ですが)、残りの期間で頭に叩き込めることは是非諦めずやってください!!
脳画像についてもっと極めたいと思う方は是非様々な参考書をご覧ください。
その中でもrehaideaがおススメするのはこちらです。
【脳画像・本】苦手な人でもすぐわかる!脳画像の読影に役立つおすすめ書籍9選!そもそもこれを作ろうと思ったのが、こういった経緯があってのことでした。
最近よく行くカフェでやたら医学書を開いてる人をみるな〜って思ったらもう国家試験の時期のようです‼︎
そこで聞こえてきた会話
「俺、中枢は苦手やし脳画像の問題は捨てたわ〜」ちょっと待て!なんなら私が1時間みっちりレクチャーしましょうかって思わず言いそうになった(>人<;)笑
— rehaidea (@rehaidea) 2018年2月5日
最後まで諦めず、そして晴れて理学療法士になれた時は、このブログを通じてでも情報交換できればと思っていますので、残りの期間も是非頑張ってください!!
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それでは、また~!!