こんにちはリハビリアイデア(@rehaidea)です。
皆さんは総合事業という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
タケシ
リハアイデア
このように、在宅の領域では、病院セラピストが普段あまり知らない(本当は知らなければいけないことなのですが)制度上のことや、介護保険に関することが山ほどあります。
総合事業もその一つではないでしょうか?
実はこの総合事業ですが、介護保険法の一部改正により、平成27年から「介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」)」がスタートしました。
タケシ
実際は平成29年4月から全国の事業所で本格的なサービスが開始されているようです。
ところで皆さんはこの総合事業って何かご存知ですか?
そもそも総合事業とは誰を対象に、どこがそのサービスを提供するのか?
実際はどんなことをしていて、何が目的なのか?
とても謎の多い制度ですが、今回は総合事業について、まずは入りの部分としてその概要について分かりやすく解説していきたいと思います。
目次
総合事業サービスとは一体何なの?
「総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)」とは、2015年(平成27年)4月に施行された新しいサービスです。
この事業の趣旨として、厚生労働省は
総合事業は、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域で支え合う体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの。
としています。
どういうことかというと、保険者(市町村)が先頭にたち、それぞれの地域に住む高齢者の方々の状態や状況に応じて、必要な『生活支援』『介護予防』などのサービスを『総合』的に行っていく事業のことです。
タケシ
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ここでいう、市町村が先頭に立ちということは、この事業の舵取りは主に市町村に委ねられてるということです。
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じゃあ、その船長の市町村は一体誰なのかってことで、誰がその総合事業を実施するのか?って気になりません。
総合事業で何が変わったの
それには、まずは総合事業が今までの制度とどう変わったかを理解することが近道だと思います。
まずは変更点についてこちらをご参照ください。
出典:厚生労働省
変更点がわかりましたか?
もう少しわかりやすくするとこんな感じです。
今までの制度では、要介護者・要支援者・それ以外の65歳以上の高齢者という3つのくくりの中で、それに対して色々な利用できるサービスなどがありました。
- 要介護者:介護認定の要介護1~5をもつ方々は、訪問介護や訪問看護など
- 要支援者:介護認定の要支援1~2を持つ方々は、訪問看護、福祉用具、通所介護など
- 65歳以上の人:介護認定を持たない65歳以上の方々は、地域における転倒予防教室やシニアクラブなど
つまり今までは、介護認定をお持ちの方で、その中の要支援者は予防給付(保険料や税金から9割もしくは8割支給される)でのサービス利用が可能でした。
それが、今回の4月からは、
- 要支援1、2を利用していた方々のうち、訪問介護と通所介護を受けていた方々
- 65歳以上の方々(基本チェックリストにより選定)
が利用していたサービスがこの『総合事業』に変わったよっていうことになります。
要支援1.2の方は介護保険の要介護認定によって決定されるので、これは理解できると思います。
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その調査によって、あなたは動けるから要支援いくつとか、病気などにより自立した生活するには介護が必要だと判断されれば要介護いくつって感じで(簡単に書いてますが、しっかりとした評価基準があるので、気になる方はチェックしてみてくださいね)、介護保険の認定がおります。
そして、その認定結果をもとに、あなたは介護が必要だから、ヘルパーさんにきてもらいましょう(訪問介護)とか、お風呂に入るためにデイに行きましょう(通所介護)というようなサービスを受けます。
そのサービスを受けている人がひとつめの要支援1、2を利用していた方々のうち、訪問介護と通所介護を受けていた方々にあたります。
それに対して2つめの65歳以上の方々はどのように決められるだろうか?
サービスによっては65歳以上の方なら誰でも参加できるものもありますが、元気な人みんなが受ける必要はありません。
では、どうやってサービス利用者を決めるかというと、基本チェックリストによる選定によりサービス事業対象者が決定されます。
平成27年度から移行した新しい総合事業からは、この基本チェックリストを要介護認定の手続き上含めることとなったようです。
つまりこちらも市町村の窓口に相談に行ったあとに、実施される形となります。
それによって、この方はまだ介護保険を受けるまでには至ってないが、少し生活に支障がきたしそうだなって判断されれば、総合事業における一般予防事業の対象となるようです。
以上のことからまとめると、これまであった従来の介護サービス事業所だけでなく、今まで行っていた介護保険を持たない65歳以上の方々が利用していた各市町村が実施する介護予防事業のサービスに、要支援の方々のうち、訪問介護と通所介護を受けていた人たちが加わったよってことになります。
それにより、今までかかっていた要支援者における社会保障費を大幅に減らすというのが国の狙いにあります(それだけではないのですが)。
要支援者で元気な方は沢山おられます。
そういった方々がもっと自立して、サービスを利用せずとも生活できるように社会全体が移行していこうよっていうのが流れではないでしょうか。
総合事業の担い手はどこになるの
じゃあ、この制度の変更に伴い、一体誰が総合事業を受ける方々に対してサービス提供をしていくのかが気になりますよね。
つまり、介護予防事業の船に乗ったはいいけど、その人たちの面倒をみるべき船長は誰なのってことですよね。
これも色々調べてみた感じたのですが、某漫画のキャラクターの○フィのように「俺は海賊王になる」って夢を持って行動にうつせる船長もいれば、「みんな頑張ってね〜」っていう夢のない船長もいるのではないでしょうか?
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タケシ
私も簡単に調べた断片的な知識しかないため、どこがどうといった偉そうなことを言える立場ではないですが、私が調べて何をしてるかわからないとこは、もちろん他の人にも中々伝わってないってことではないでしょうか?
では、皆さんはご自身が住んでる近くでは、どうやってこの総合事業が動いているかってご存知ですか?
総合事業のことをより詳しく知ろうとするなら、まずは自分たちの地域の動きを知ることからはじめるのが一番だと思います。
動いているとこはやっぱりこれからの高齢化社会に対する熱の入れようが全然違いますから!
そこで、大阪在住の私が調べた結果、大阪なんかではこちらが有名なのかなって思いました。
参考 大東公民連携まちづくり事業matituku.com
そういえばNHKのクローズアップ現代+で特集されてましたね。
タケシ
大東市のように市が大々的に動いていて、地域の色んな自治体やボランティア団体を巻き込んだりしているところもあれば、そうでなかったりのところも。
調べてわかったのは、舵とりをしているのは主に市役所などにある地域包括支援センターですが、実際動いているのは各地の介護事業所やNPO団体、ボランティアなどの自治体がメインのようです。
そもそも各地域の高齢者の状況は、各地域それぞれで抱えている課題が違うため(ある地域では、高齢者が集まり、コミニティーができてるとこだったり、ある地域は全くなかったり)、そういったことを理解していたり、現時点でその地域で活動してる自治体に話がいくのは自然な流れなのかなって思います。
つまり、市町村が舵はとるけど、主に活動するのは各自治体に根付いている社会資源(ボランティア、NPO、民間企業、協同組合等)を主体にしていこうという国の狙いと一致しているようです。
そうなれば、この事業を進めるにあたっては各自治体の自由な発想が重要とされています。
こういった社会資源をうまく活用し、総合事業を各地域それぞれが、それぞれにあった形で実施していく必要があるということなんです。
じゃあ、そういった社会資源を提供する事業所ってどれだけ活動できているのかなってのが気になりますよね。
それを知るためには、実際に提供するサービスから、どこがどのように動いているのかをみていきましょう。
総合事業では何をするの
総合事業の中で実施する主な内容は、主に次の2つに分類されています。
- 要支援者1・2、事業対象者に対して必要な支援を行う介護予防・生活支援サービス事業
- 65歳以上の方に対して体操教室等の介護予防を行う一般介護予防事業
とで構成されています。
この2つのサービスのそれぞれの詳しい内容についてはこちらになります。
出典:厚生労働省
介護予防・生活支援サービス事業について
ここで私自身が感じた疑問なんですが、介護予防・生活支援サービス事業についてです。
これって、今まで要支援の方を多く抱えていた訪問介護や通所介護の事業所は、今後どうなっていくのでしょうかね?
タケシ
現行に相当するサービスを提供し続けるとは思うのですが、要支援者の数を減らそうとする方針通りでいけば、もちろん事業所としても現行サービスを続ける必要はなくなります。
これって、予防給付からはずれることも考えれば、訪問介護や通所介護の事業所自体が減ることになり、要支援者があふれてしまうといったことにもつながるのではないだろうか?
あくまでも、個人的な見解ではありますが、要支援者の中でもサービスを受けれないなんてケースもでてきてもおかしくないかなって思います。
そういったことに対して、サービスA、B、Cといった各サービスを実施していく必要があるのですが、事業所として参入できるのはAのみで、それ以外は先ほどあげたようなNPO法人やボランティア団体が行うのであれば、そういったサービス提供できる場がないと、最終的に困るのは要支援者になりかねませんね。
国が求める目的もわからなくないですが、総合事業を取り組んでいく事業所は、今後の対策が必要なのは明白ですし、新たにサービスを提供する社会資源が出てくることも重要になってくるんでしょう。
具体的なことはわからないので、私自身もなんとも言えませんが…サービス提供をする社会資源ってどれだけあるのか疑問が残ります。
あまり、こういったことを知らない病院セラピストなどにとっては、例えば病院を退院された要支援の方々がどうなるのかは非常に気になるところですよね。
そういった意味でも、総合事業に取り組む事業所がどういったことをしているのか、どういったところでサービスを受ける必要があるのかも知る必要があるということですよね。
この辺って、身体機能などを知っているセラピストだから助言できそうなこと沢山ありそうですよね。
実際、介護度は低くても、介助が絶対必要だとかって人もいると思うし、そういった方々のことを理解できるのって専門職じゃないと難しいと思うので。
一般介護予防事業について
次に一般介護予防事業についてみていきたいと思います。
大きく分けて5つの事業にわけられるのですが、一般介護予防事業を簡単にイメージするとなると次のようになると思います。
それは「自立の高齢者~要介護者を対象とした、介護保険外サービス」といった感じになります。
上記のように書いてしまうと、ただの民間企業のサービスのように思えるかもしれません。
ただし、そのような民間企業のサービスは、必ずしも全国一律に出てくるわけではありません。
ビジネスになりますので当然、需要が少ない所には採算割れの危険を冒してまで展開をしませんし、対価を支払えない人を対象にすることもないでしょう。
そのため、先述したように、総合事業では市区町村が中心となって、地域の実情に応じて多様な主体が参画し、多様なサービスを充実させ、地域の支え合い体制をつくることとなります。
つまり、総合事業の開始によって、事業者も「多様な主体」の一員として、どのようなサービスを提供していくかを考えることが大切です。
総合事業に関するまとめ
総合事業に関しては各地域の市町村にその方針は委ねられており、実情はその中で各自治体がどう動くかを今後の大きな課題としているところにあると思います。
つまり船長がいて、舵をとって向かうべき目標は明確にあっても、どうやって進んでいけばよいのか、誰がそれをやっていくのかという船員がまだまだ確立できていないということです。
最近では、ここに理学療法士等が国が進める事業として委託を受けたり、市町村とタッグを組み色々な取り組みをしている働きが少しずつでてきています。
リハアイデア
そこに関わるためには理学療法士が何ができて、どういったことを社会のニーズとして求めているのか、そういったマーケット感覚での関わりも必要にはなってくるのではないだろうか?
リハアイデア
そこらの市町村の一般的知識を持った人達より、高齢者のかかえる問題を詳しく知ってるのは当たり前です。
だからこそ、まずは理学療法士がその知識をもち、今はどういった社会の流れがあるのかをいち早く情報として察知する能力をもつ必要があります。
それには、まずは本質を知ることから初めてみてはいかがなものかと思います。
次回はこの総合事業における具体的な流れやそれによってもたらされる事などについてもまとめてみたいと思います。
それでは、また‼︎
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