こんにちはリハビリアイデア(@rehaidea)です。
カスミ
リハアイデア
リハアイデア
カスミ
リハアイデア
こういった臨床での悩みは一時は経験したことがあるセラピストは多いと思います。
脳卒中の予後予測において、それぞれの病態の身体機能をみていきながら考えていく必要やエビデンスによって裏付けられたデータを活用するのも非常に大切になっていきます。
でも、個別性という面では少し判断にかける部分があるのが実際ではないでしょうか?
では、どうすればそういったケースにおいても予後予測が可能となるのか?
それには脳画像をみる力がセラピストには必須になり、その脳画像からある程度の予測を立てることが可能になると思います。
そして、脳画像において重要なのは、
リハアイデア
それにはまずは障害を受けた脳部位の確認が必要になりますが、脳出血の診断において最も使用されるのがCT画像になります。
ここではCTの一般的な知識について整理していきながら、CT画像の特徴をみていきましょう。
目次
CT画像ってそもそも何なの?
カスミ
CTは、X線をあてることによって、様々な部位の透過性を利用した輪切りの画像(横断像)を得る検査方法です。
リハアイデア
カスミ
それは、X線の吸収率によってそれぞれの部位の見え方が違ってくるため、その脳の中の正常を知っていれば、どういった部位に障害が出ているのかがとても見やすい画像になっています。
骨なら、吸収率が良く白く映りますし、脳脊髄液などは吸収率が悪く黒く映し出されます。
ちなみに同じX線を用いるレントゲンとの違いは2次元でとるか、3次元でとるかの違いになります。
つまり、レントゲンは一枚にX線が透過した情報すべてが映し出されますが、CT画像は断層画像として、輪切りになった画像として表されます。
リハアイデア
カスミ
皆さんが一般的に脳画像で見るCT画像は、輪切りになっているこういった画像ではないでしょうか?
実はCT画像では、体の情報を3次元的に収集するため、撮影後には輪切り画像だけではなく、縦切りや斜めからといった、様々な角度から切ったような画像を作ることが可能になります。
それをMPR(Multi Planar Reconstruction)といいます。
名前を覚えてもらう必要性はないのですが、CT画像には代表的に3つの側面からみた画像があることを覚えておいてください。
- 体軸断面像-アキシャル像(Axial):体に対して水平面上
- 冠状断面-コロナール像(Coronal):前方から真正面上
- 矢状断面-サジタール像(sagittal):縦方向の矢状面上
脳画像におけるCTの特徴
それでは、3つの側面をそれぞれみていきましょう。
体軸断面像 アキシャル像(Axial)
これは皆さんが一般的にみる水平面上の脳画像です。
図でいうところの青枠になります。
カスミ
この脳画像では脳を水平面上で切り、上から覗いたかたちになります。
そのため、間違えやすいのですが、右側にある脳は左脳で、左側にある脳は右脳になります。
リハアイデア
左右の脳実質が左右対称になるのが正しいのですが、たまに脳画像そのものもまっすぐではなくズレた画像として見える時がないですか?
脳出血発症後で意識がある方などではたまに、装置内でも動く場合があります。
そうすると本来は左右対称になるはずの画像が左右の脳でズレて撮影されるということになります。
でも、実際の画像ではそうならないように三次元的にそれを補正してくれているので、だいたい左右対称の画像として現れます。
そして、この水平になる基準をとるのがOM lineといわれるものになるのです。
また合わせて、頭蓋底付近の骨を極力大脳(ウイリス動脈輪や中脳レベル近傍以遠)と離せる事ができるといったことなどから大脳病変を捉えるのに適しているとされています。
つまり、我々が普段みる脳画像はまっすぐの水平面をみているわけではなく、少し斜めをみているということを意識してください。
この画像は脳画像を見る上でも一般的によく用いられる画像で、脳機能部位を把握しやすく、病態を理解しやすいといった特徴があります。
脳を前後にわたってみることができるので、病変の前後の広がりが最も把握しやすい画像になります。
冠状断面-コロナール像:Coronal-
これは前方から真正面に切った冠状断面の脳画像になります。
図でいうところの黄枠になります。
一般的に言われる前額面というようにイメージしてもらったら良いです。
この画像の特徴として、脳を上下にわたって観察することができるため、神経線維の連続性をみるのに役立ちます。
神経線維は主に運動を司る皮質脊髄路や姿勢を司る皮質網様体脊髄路、感覚情報を受け取る脊髄視床路などになります。
[post id=”332″]また出血による他の部位への圧迫(テント上及び下の出血による脳幹などへの圧迫をみる)をみる脳ヘルニアの診断にもよく用いられます。
参考 頭蓋内圧亢進・脳ヘルニア看護roo出典元:看護roo:Web サイト
矢状断面-サジタール像:sagittal-
これは縦の矢状面上に切った(左右に分かれるイメージです)画像になります。
図でいうところの赤枠になります。
この画像の特徴としては、左右間のつながりを把握するのに役立ちます。
脳の神経線維には左右を繋ぐ交連線維といったものがあり、その代表的なものが脳梁になります。
この脳梁は左右の脳の情報のやり取りをすることで、どちらかが働けば、どちらかの活動を押さえるといった半球間抑制の役割を果たすうえで非常に重要な線維連絡になります。
その他にも、脳幹病変においても、脳幹内の前後などで神経伝導路の走行をイメージできたり、脳神経核の障害有無を把握するのに役立ちます。
カスミ
リハアイデア
カスミ
このようにCT画像はMRIのように多くの種類があるわけではなく、画像特性として一種類の画像しかありませんが、様々な側面から脳の状態を把握することが可能になります。
リハアイデア
CT画像の特性
次はCT画像における見え方の違いについて解説していきます。
カスミ
リハアイデア
一般的にCT画像で大きく見分けられるのは、白・灰色・黒色の3種類になり、それはX線の吸収度合いに応じて画像として見え方がことなります。
そして呼び方もそれぞれ、吸収率が高く、画像上白っぽく映るものを「高吸収域」と呼び、逆に吸収率が低く、黒っぽく映るものを「低吸収域」と呼びます。
- 白く映る:骨、石灰化、血腫(出血)、腫瘍、金属など
- 黒く映る:脳脊髄液(脳室)、梗塞、脂肪、陳旧性血種など
分かりやすい例で例えるとぎゅうぎゅう詰めの満員電車を思い出してみてください。
車両の中は人が沢山乗っていて、人口密度が高く、その中を移動しようと思っても中々移動することができず、それだけでかなり体力が奪われます。
逆に空いている電車の中では人も少なく、人口密度が低いため、移動をしようと思っても容易に可能で、電車内でも楽に過ごせます。
つまりこの電車の中での移動する人をX線と考えて下さい。
X線も人と同様に透過するのにものが密集しているところ進もうとすると、どんどんパワーが弱くなってしまうのです。
結果的にフィルムまでX線があまり届かず、レントゲン画像ではその部分が白く写ることになります。
つまり、密度の高いモノにX線を照射しても通過する間にそのパワーが吸収されレントゲンでは白く写ります。
一方で、密度の低いものに照射すれば、簡単に通過できるので、X線が効率よくフィルムに届き、適正な濃度または暗い画像になりやすくなります。
CT画像では特に脳出血の診断に用いられるのは、血種自体がこのX線をより吸収してしまい、画像としても高吸収域(つまり白くなる)になるので診断が容易に可能となるのです。
それに対して脳梗塞の場合は、脳の血管が詰まっただけで、脳実質自体にはX線がそれほど吸収されないため、時期によっては発症初期なんかでは画像上どこに梗塞巣があるのかわからないぐらいになります。
なので診断名によってもCT画像を用いるのか用いないのかは判断する必要がありますね。
CT画像とMRI画像の違いって
CT画像の特徴はなんといってもその検査時間です。
一般的に頭部の検査にかかる時間は5分ほどですむそうです。
時間の多くは、撮影寝台の移動や撮影位置の決定などにかかる時間がほとんどであり、実際の撮影時間は1~2分程度です。
もし、検査中に患者さんが動いてしまっても、画像がブレて観察しにくくなった部位だけを撮影し直すことも簡単にできます。
そのため救急を要する患者さんの場合、まず脳画像をこのCTで撮って、出血か梗塞かの判断に使用されます。
そして、MRIに比べると格段に早く検査がすみます。
だいたいの病院であればCT画像の装置は常備されていますが、回復期病院なんかではMRI装置を置いていないところが多いようです。
一方で、MRI検査は一つの種類の画像を撮影するのに数十秒から数分かかり、全体の検査時間は最短でも20分、最長だと1時間近くかかることもあります。
そして、CT検査と違い、MRI検査時間は短縮することができません。
こういった点からも脳血管疾患の診断においては、まずはこのCT画像をとることが最重要視されます。
カスミ
では、脳出血の場合はすぐに診断ができるのですが、脳梗塞の場合はどうなのって疑問がでてきませんか?
実はCT画像でも脳梗塞の診断は可能で、Drはその中でも早期虚血サイン(early CT sign)というものをみて、脳梗塞の治療(血栓溶解療法(t-PA治療))を早急にすべきか、保存療法を選択すべきかの判断をすることになります。
では、そのearly CT signといったものが何なのかを解説していきましょう。
早期虚血サイン(early CT sign)とは?
脳梗塞の発症初期はCT画像ではわからないことが多いです。
カスミ
リハアイデア
ただ、これはラクナ梗塞などの比較的病態としても小さな梗塞に限ってのことで、心原性の大きな梗塞の場合は、CTでも判断することが可能になります。
そして、そのCTでもわかる脳梗塞を見分ける際にこのearly CT signが重要になってきます。
- 皮質・白質の境界消失・島皮質の不明瞭化
- Silvius(シルビウス)裂の狭小化、脳溝の狭小化・消失
- レンズ核の不明瞭化
- hyperdense MCA sign:中大脳動脈高吸収所見(中大脳動脈に血栓があることを示唆)
脳梗塞の場合、これら4つが全てみられる場合もあれば、1つのみしかみられないという場合もあります。
なので、実際の脳梗塞の症例の画像をしっかりみながらどこにこういった所見があるかをみる必要があります。
皮質・白質の境界消失・島皮質の不明瞭化
脳梗塞の診断に多いのがMCA(中大脳動脈)領域の梗塞になります。
そのため、MCA領域に梗塞が起こると島皮質が虚血状態になり、正常なCT画像とは異なります。
若干ではありますが、その周囲の白質とのコントラストが消失します。
そのため下記の部位が不明瞭となり、境目もわかりにくくなってしまいます。
Silvius(シルビウス)裂の狭小化、脳溝の狭小化・消失
これはさきほどの島皮質とも関連するのですが、全体的に脳と頭蓋骨の間のスペースがなくなり、それぞれの部位の明確な境界線がなくなってしまいます。
この場合は左右の脳を見比べてみて、どこか脳と頭蓋骨との隙間がないかを探しながら、特にMCA領域の部位の脳溝の隙間の消失をみつけてみてください。
レンズ核の不明瞭化
レンズ核は被殻と淡蒼球を合わせたものになり、血管支配領域もMCA領域にあたります。
つまりその部位を左右で見比べ、輪郭がどのように見えているかを判断することが大事になります。
hyperdense MCA sign
これは中大脳動脈(MCA)に血栓が詰まった際に見られる現象で、MCA領域の部分が高信号になります。
注意点は中大脳動脈(MCA)の石灰化とhyperdense MCA signの判別が難しいようですが、基本的に石灰化のほうが信号が高いと言われています。
なぜearly CT signをみる必要があるのか?
一般的に、このような早期の脳梗塞の診断やearly CT signの確認はDrが行うことです。
しかし、我々セラピストにおいても、発症時のCT画像をみることで、その方が発症からどれぐらい経過してから病院に運ばれてきたのかが、このCT画像から判断することができます。
基本的に脳梗塞の治療においては早期発見が非常に大事になってきます。
発見が遅れれば遅れるほど、脳への虚血時間が長くなり、その分機能予後にも大きく影響してきます。
つまり、発症初期の脳画像をみることで、すでにCT画像でも梗塞巣がわかるぐらい脳の虚血が進んでいれば、それだけ機能予後が悪くなる可能性を視野に入れながらリハビリテーションを進めていくことが重要となってきます。
逆に、脳梗塞発症すぐに病院に運ばれ、それなりに処置が施された場合は機能回復が望みやすい可能性もあるので、時期や程度を把握することも是非画像から読み解いてみてください。
early CT signの評価方法
early CT signの評価方法には、
ASPECTS scoreが用いられます。
単純CTのearly CT signを定量化したスコア法
脳の片側の中大脳動脈(MCA)領域を
10個の領域に分け、各領域ごとに早期虚血変化の有無を評価し、
減点方式でスコア化します。
MCA全領域にearly CT signが認められた場合は
0点になります。
読影者の間でのばらつきが少なく、
信頼性が比較的高い評価法とされていますが、
正確な読影には十分なトレーニングが必要です。
脳のCT画像の時間経過
カスミ
リハアイデア
ここではその基本となる部分をお伝えしていきます。
脳出血のケース
発症初期
CT画像において発症初期の脳出血の場合は、高吸収域で白くなります。
その理由は血液が血管の外に漏れ出ることで、血液成分である血漿が吸収され、ヘマトクリット値(Ht)が上昇するためです。
ケースにもよりますが、発症初期の場合はそれほど出血部位の周囲には著名な浮腫等はみられない印象です。
また、元々の血液動態がよくないケース(例えば糖尿病を既往歴でもっていたり、透析等をされている場合)は出血後の血腫もより高吸収域が強くなる印象があります。
亜急性期(~1週間)
発症数時間から徐々に血腫周辺に浮腫が生じてきます。
そして、その浮腫も数日で最大になってきます。
浮腫に関しては画像では、血腫の周囲にやや軽度の低吸収域(灰色っぽい感じ)としてみられます。
吸収期(1週間から2,3ヶ月)
この時期から血腫は徐々に等吸収となり、周囲の浮腫も軽減していきます。
そして血腫の周りから徐々に低吸収化が始まってきます。
臨床的なイメージですが、脳出血の患者さんでは発症1週間~1ヶ月にかけては血腫の吸収があまりみられず、浮腫もみられるため脳の活性化が図りにくく障害部位だけではない機能障害が見受けられる印象です。
しかし、2~3ヶ月の経過に伴い徐々に意識もクリアとなり、障害部位による機能低下が限局され、この時期から積極的な介入が行え、脳機能の回復もよくみられます。
瘢痕期(2,3ヶ月~)
出血部分の血腫はほぼ吸収されていき、壊死組織が貪食、排除されて、液化空洞を形成します。
この頃には障害部位に応じた機能障害が顕著にみられ、能力的にも劇的な変化は少ない印象です。
そのため予後も含めてどういった機能的なアプローチを実施していくか、代償手段を用いるべきかはセラピストが判断しながら治療プランを考えていく必要があります。
脳梗塞の場合
発症初期
脳画像としての所見はほとんどみられません。
超急性期(1-24時間)
中大脳動脈領域の脳梗塞の場合は早期虚血サイン(Early CT sign)として描出されることがあります。
急性期(1-7日間)
脳梗塞部位は低吸収として描出され、周囲には低吸収の浮腫性変化を認めます。
この時期に生じてくる脳浮腫をペナンブラと言います。
ペナンブラとは血流量が低下している領域ではありますが、細胞死を免れている部分を指し、速やかな血管再開通により梗塞への移行を阻止できると期待される部位です。
よく臨床的に言われる早期離床の考えですが、この虚血部位であるペナンブラに対して如何に早くから血流を改善させらえるかを重要視している部分がそれにあたります。
しかし、近年では脳機能の障害の程度によっては、より急性期からの早期離床はかえって予後を悪くするといったデータもでているため、しっかりとDrや病棟Nrsと連携を取りながら離床を図っていく必要があります。
脳機能の障害時期に応じた考え方の一例はこちら!
運動麻痺回復のステージ理論とは?運動麻痺回復の脳内メカニズムを徹底解説!亜急性期(1-4週間)
脳梗塞部位は低吸収として描出される時期と、等吸収として描出される時期があります。
発症からだいたい2週間前後で、経過をおっていくと浮腫の消退に伴い梗塞部位が周囲の正常脳実質と同じくらいの濃度を示し、あたかも正常のように見える時期がきます。
これをfogging effectと言います。
実際には、その部位の機能障害がなくなるわけではないので、画像だけではなく、臨床上での身体所見をみながらアプローチをしていく必要があります。
そしてこの時期をが過ぎてくれば、脳梗塞部位は徐々に低吸収(黒色)として描出されます。
慢性期(1ヶ月)
この時期ではもう梗塞部位がしっかり低吸収域(黒色)となり、いわゆる古い梗塞(陳旧性脳梗塞)と分類されるようになっていきます。
脳梗塞の場合はだいたいこの時期に脳の機能回復がぐっとよく見受けられる印象があり、この時期のリハビリは積極的な介入が必要になってきます。
脳梗塞においてはできるだけ早くに脳血流量をあげ、虚血している脳部位に血液供給ができるかが重要になってくるので、画像の変化も確認しつつ、積極的な介入が行えるよう脳画像をひとつのツールとして是非使ってみてください。
脳のCT画像のまとめ
- 脳出血と脳梗塞ではそれぞれ画像の見え方が異なる
- 脳出血の際にはまずはCT画像が第一選択としてみる
- 脳梗塞の場合はearly CT signをみながら、発症時期を予測する
- 脳出血と脳梗塞どちらも時期による画像の見え方が変化する
今回は、CT画像についてその基本的な部分から、脳出血や脳梗塞においてみるべきポイントをお伝えしました。
カスミ
リハアイデア
カスミ
ただし、注意して置いて欲しいのは、脳画像全てがこの通りになるとは限りません。
患者さんが100人いれば100通りの見え方があります。
それぞれの特性を理解しながら、臨床の中で脳画像を使える知識にしていきましょう!!
それでは、また!!
国家試験に臨む学生必見の画像をみるためのコツはこちら!!
理学療法士・作業療法士の国家試験で絶対覚えておいてほしい脳画像をみるポイント!CTだけではない、MRIについての脳画像の見方はこちらから!
脳画像におけるCT・MRIの見方!!みるべきポイントさえ押さえれば、脳画像は簡単に見れる!!