こんにちはリハビリアイデア(@rehaidea)です。
さて、問題です!感覚障害がある患者さんの脳画像は何をみますか?
え~、感覚なんでやっぱり視床ですかね?
感覚障害を見る上で重要な機能は視床が多くあがりますが、実は感覚障害を疑った場合、もうひとつみるべき重要な部位があります。
それが大脳皮質である一次体性感覚野(3,1,2野)の領域です。
大脳皮質の一次運動野は運動情報を出力する場所ですが、この一次体性感覚野は感覚情報が入力される場所として、非常に重要な部位になってきます。
そしてこの感覚野は3,1,2野と3つの領域に分けられることで感覚情報の入力においてもそれぞれに特性を持っているのが特徴になります。
今回はこの一次体性感覚野について脳画像からどのようにみつけていくのか?についてまとめていきたいと思います。
- 一次体性感覚野の位置が理解できる
- 一次体性感覚野を脳画像から探すことができる
- 一次体性感覚野の体部位局在が理解できる
- 一次体性感覚野の血管支配領域が理解できる
それではスタート!
目次
一次体性感覚野とは
一次体性感覚野(ブロードマンエリアの3,1,2野)は大脳皮質の領域の中でも頭頂葉に分類され、前方の運動野、後方の頭頂連合野の間にある部分になります。
名前の通り身体から入ってくる感覚情報の入力部であり、感覚といっても主に体性感覚情報として触覚や圧覚といわれる表在感覚と運動覚や位置覚といわれる深部(固有)感覚の大きく2種類が入力されます。
- 表在感覚:主に皮膚受容器から入力される感覚
- 深部(固有)感覚:筋や腱などの受容器から入力される感覚
一次体性感覚野の一番のポイントとしては、一次運動野とは違い、ひとつの脳回に3つの領域(ブロードマンエリア3,1,2野)があるということです。
なんで同じ脳回に3つも領域があるんですか?
感覚情報をひとつの決まったものではなく、色々な特性を持った情報があるから、臨床的にも【どの感覚情報に対して問題があるのか】これを把握することがすごく重要になってくるんだよね!
つまり、感覚障害のありなしだけを判断するだけではダメということですね!
その通り!!だからこそ脳画像と照らし合わせながらどういった感覚に問題があるのかを理解することがすごく重要になってくるんだよね!
では、実際のこの一次体性感覚野を脳画像から探していきたいと思います。
一次体性感覚野がみれる脳スライスのレベル
脳画像に関しては全く知識がないのですが、どの脳画像から見たら良いのですか?
CTやMRIどれもみても良いんだけど、まず一番初めは脳の溝がみやすいMRIの中のFLAIR画像とかをみるのをオススメするね!実際は慣れてくるとCT画像とかでもわかるようになるからね!
まず一次体性感覚野がみれる脳画像を見つけていくのですが、一次体性感覚野などの大脳皮質がみえる脳画像の領域はスライスレベルの一番上の脳のみぞ(脳溝)が多い画像を探します。
この脳画像のスライスレベルを頭頂レベルといいます
頭頂レベルのスライスをみる場合に、まずみるべきポイントは脳溝と脳回を把握するということです。
脳回・・・大脳皮質にある『しわ』の隆起した部分をいいます。脳回は1つ、ないし複数の脳溝によって囲まれています。
なんか学生のころの解剖学の授業で、〇〇回とか、▲▲溝って聞いたことがありました。その時は全然わかっていませんでしたが…(笑)
そうそう、この脳溝と脳回にはそれぞれ部位によって名称がついているんだよ!
だから、頭頂レベルで脳画像を見る際には、この脳溝と脳回をしっかり覚えておくことがポイントになるんだよ!
その中で、今回の一次体性感覚野を探す際に重要な頭頂レベルでみるべき脳溝は中心溝になります。
この中心溝を基準に、前方に一次運動野が、後方に一次体性感覚野が位置します。
今回は中心溝と合わせて、中心後溝から一次体性感覚野の脳回を同定する方法をお伝えしていきます。
中心溝だけではダメということですか?
一次体性感覚野は3つの領域があるという話をしたよね!つまりそれらが収まる領域として脳回をしっかりわけておかないといけないからね!
一次体性感覚野を脳画像から探す:中心後溝の同定
一次体性感覚野の領域である脳回を探すうえで、前方の中心溝とあわせて後方にある中心後溝を探す必要があります。
まずは、青のラインにある中心後溝を探していきます。
中心後溝は名前の通り、中心溝の後ろの溝にあたる部分です。
中心後溝の同定方法は2つの方法から同定することが可能となるので、その2つの方法についてお伝えしていきたいと思います。
では、この中心後溝をみつける方法ですが、中心溝をまずは探していきます。
大脳縦裂で左右の脳を分ける
脳を内側から見た際にみえる大きな溝である帯状溝を大脳縦裂から探す
帯状溝から斜め前方にある太い溝を探す。
特徴としてはひらがなの【ひ】の字の形をする溝。
帯状溝からそのまま斜めに延長した辺りの脳溝を探す。
これだけで中心後溝がわかれば良いのですが、実際の脳画像ではここまではっきりわからない場合もあります。
そういった時に、中心後溝を判別するのに、もう一つ別のみるポイントがあるんです!
中心後溝の特徴は、そこに交わるもう一つの溝があります。
その溝が頭頂葉を上・下に分ける溝である頭頂間溝という溝になります。
わかりやすく図に示すとこのようになります。
では、これらの脳溝が脳画像ではどのように映るのでしょうか?
実際の脳画像では、中心後溝と頭頂間溝とで、漢字の『丁(ちょう)』の字をつくるような形がみつけられます。
スライスのレベルによっては、『頭頂レベル』のもう一つ下のレベルの『半卵円レベル』での画像の方がみつけやすいケースがあるので、実際は、そちらもみてみてください。
- 帯状溝から中心溝を探す
- 後方の中心後溝を頭頂間溝から探す
- 2つの間の領域の一次体性感覚野を同定する
一次体性感覚野を脳画像から探す:脳回の同定
そして、この中心後溝がみつけられれば、その前方にある脳回の領域が一次体性感覚野になります。
一次体性感覚野も、一次運動野同様、場所によって支配している体の領域(体部位局在)が異なります。
そして、この部位のことをホムンクルスといい、一次運動野の領域と同様に内側から、下肢→体幹→上肢→顔面と領域がある程度決まっています。
つまり、脳出血などでどの部位が障害されたかによって出る感覚障害の部位が異なるということになるね!
感覚障害を呈する症例をみた際は、手の領域の感覚が悪いのか、足の領域の感覚が悪いのか、といったように体の中でも部位別によって細かな評価が必要になります。
そして、それを正確に判断する上でも、この脳画像での部位のチェックが重要になってくるので、是非脳画像と合わせてみてください。
一次体性感覚野(3,1,2野)の特性
一次体性感覚野を見る際に重要なポイントとして、体部位局在を知ることともう一つ、一次体性感覚野の3つの領域を理解することが大事になってきます。
これが一次体性感覚野の障害の中でも、その階層性を理解することにあります。
ブロードマンエリア3,1,2野
しかし、この3つの領域は脳画像からでは厳密にどこからが3野でどこからが1野というような明確な境界線はありません。
そして、脳画像からの同定も難しいのが実際です(疾患によっては、それが脳実質そのもののダメージなのか、浮腫などによる一過性の障害なのかは画像からでは明確には分けれないため)。
実際の脳画像の中での配列はこのようになります。
前方から3野→1野→2野
3,2,1と順番になってたら覚えやすかったのに...(笑)
ここで覚えておいて欲しいことは、症例の脳画像が『前方よりの障害』なのか、はたまた『後方よりの障害』なのか、『全体の障害』なのかという大きなくくりで判断してもらえれば良いと思います。
それによって出てくるであろう症状も変わる可能性があるので、それに応じた感覚の評価やアプローチをしていくことを心がけましょう!
一次体性感覚野における血管支配領域は?
頭頂レベルでもう一つ臨床上、重要な要素の中に血管支配領域があります。
このスライスレベルでは2つの大きな血管支配をうけ、内側を前大脳動脈、外側を中大脳動脈が血管支配を行っています。
つまり、中大脳動脈での脳梗塞においては上肢の領域が下肢に比べ障害が強いことがわかるね!
一次体性感覚野の同定のまとめ
- 脳溝が沢山ある頭頂レベルのスライスを探す
- 中心溝をみつけ、その後方の中心後溝を探す
- 中心溝と中心後溝の間にある脳回が一次体性感覚野の領域になる
- 一次体性感覚野の領域には体部位局在がある(内側から下肢→体幹→手→肩→顔面)
- 一次体性感覚野の血管支配は外側が中大脳動脈、内側が前大脳動脈になる
一次体性感覚野は感覚障害を判断する上ではとても重要な部位になります。
そして、部位により入ってくる感覚情報が異なるため、アプローチの中ではどこの部位に、どういった感覚情報を入れているのかも把握しながらアプローチすることが臨床上大事になってきます。
感覚障害と一言で言っても評価やアプローチの方法は様々あるので、是非その前に脳画像からどういった障害なのかをまずは把握してみてくださいね。
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